ノーベル化学賞受賞者・吉野彰氏が講演 「考古学を心のよりどころに」

吉野彰

携帯電話やパソコンなどに用いられるリチウムイオン二次電池の発明者の一人で、ノーベル化学賞を受賞したエンジニアにて研究者の吉野彰氏が、20日、日本外国特派員協会にて会見を行った。

吉野氏は12月5日にスウェーデンに出発し、15日に帰国したことを報告。「この10日間で私が重視していたイベントが2つありました。12月8日のノーベルレクチャー。約30分、話しました。通り一辺倒の話をしても仕方がないので、私が重視する環境の話をしました」と語った。


■日本の環境政策に期待

吉野氏は、「1つは環境問題、2つ目は経済性、3つ目は利便性。このバランスが一番難しい」と述べ、経済一辺倒になると環境問題がおろそかになりがちであり、「そろそろこの3つのバランス味を帯びてくる」と話した。

また、環境問題でいまだに結論が出ないことに対して「子供たちの心を相当痛めている」「本当の意味のサステイナブル社会の実現、少なくとも道筋の掲示をしなくてはならない。これからは新しい案を出した国が世界を制覇する」と予想。

「できれば日本が。攻めの姿勢が大切だ」と環境政策への期待を明かしている。


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■晩餐会も「楽しめた」

2つ目の重要なイベントは授賞式と晩餐会だったと語る吉野氏。授賞式で名前を呼ばれた瞬間にファンファーレが鳴り、今から受け取るのだなという実感を覚えたという。

同じ日に催された晩餐会については、「どういう方と席が隣同士になるのか、どういう話をすれば良いのか、気が重かったのですが、実際は気楽に晩餐を楽しめました。」と回顧した。

晩餐会は深夜の零時頃に終わり、それから始まる舞踏会がまた気が重かったというが、それはダンスをやったことがなかったためで、「様子だけ見に行ったらディスコ状態だった」と語った。


■大学時代に学んだ考古学が心のよりどころ

吉野彰

吉野氏は、取材陣からの質問に対して、考古学と研究開発の意外な共通点について語った。研究開発のアプローチは「宝探し」のようなもので、考古学の発掘調査とよく似た点があるという。

発掘調査では、トレンチという溝を何本か掘り、そこに「何もない」ことを証明する、もしくは欠片が見つかれば次のトレンチをどう掘るか決めて全体像を掴んでいく。

「研究開発も、いいものばかり追っかけていくとネガティブデータを疎かにすることがあります。ここには何もないと証明することが重要」と、大学時代に学んだ考古学で得た手法について、嬉しそうに語った。

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Source: ニュースサイトしらべぇ

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