このたびイラン北西部のウルミアで、ある義務を怠ったことを理由に、2人の女性が男性に車でひかれ、重傷を負う事件が発生した。現地の『イルナー通信』やオーストラリアの『7News』など、海外メディアが伝えている。
■“義務違反”の女性がひき逃げに
事件は、車を運転していた男が「ヒジャブ」という布を身に着けていなかった女性に対して、「イスラム教に反している」と大声で怒鳴ったことが始まりだった。
やがて口論に発展し、男は車で突っ込み女性たちをはねた。その後に現場から逃走しようとしたが、身柄は確保されている。女性たちは重傷を負ったが、命に別状はなかった。
同国の女性問題担当副大統領は、この攻撃を「殺人未遂」と呼んで、容疑者に対し厳しい処罰を要求しているという。
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■法律で義務化された服装
1979年に国内で起こったイスラム革命以来、9歳以上の女性は、イスラム法に従った衣装を身にまとうことが義務付けられている。ヒジャブと呼ばれる長いマントやローブによって、頭を覆い、髪や体のラインを隠さなければいけない。
この度ひき逃げ被害にあった女性2人はこの義務を守らなかったため、運転手に「伝統を重んじていない」と見なされたようだ。
しかし、法の制定から42年たった現在では、この義務は大多数の女性から不評とされている。大都市では、やはりヒジャブを身に着けずに外出する女性も増えているようだ。
■伝統をめぐり論争に発展
今日ではますます議論の的となり、イラン警察や司法当局は「この法律を施行するためには1日に数百人の逮捕者を出さなければならず、続行するのが難しい」と語っている。
一方で、国民の多くは、ヒジャブを着用しないことが国のモラルの低下につながると考えており、国内では着用を求める抗議活動が行われ、時には暴力沙汰になることもあるという。
外出する際に常に体を布で覆うのは、息苦しさや不便さを感じることもあるだろう。伝統が重んじられ続けるのか、それとも現代に合ったスタイルが認められる日が来るのだろうか。
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Source: ニュースサイトしらべぇ