大林宣彦監督逝く 最後の公の場で見せた「笑顔」

4月10日17時23分に、映画監督の大林宣彦監督が肺がんのため亡くなった。

『HOUSE ハウス』(1977年)から『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(2020年)まで44作。大林監督作品は、多くの人に映画の楽しさとすばらしさを与えた。晩年をたどる。



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■上映初日に訃報

映画祭
(「第32回 東京国際映画祭」にて撮影)

訃報は、2020年4月10日の夜に入った。この日は折しも延期にはなったが遺作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の上映初日の予定。

大林監督は19時より舞台挨拶のスケジュールだったと聞く。「亡くなったのは、ちょうどあいさつが終わった時間か。その言葉をぜひお聞きしたかった」と思う人は多い。大林作品のファンや、大林組に参加したキャスト、スタッフから惜しむ声と感謝の言葉が聞こえる。

思えば、大林監督の肺がんが発見されたのは2016年8月。『花筐/HANAGATAMI』のクランクインを控えた時期だった。医師から余命6ヶ月の宣告を受けながらも撮影をし続け、17年10月に開催された「第30回 東京国際映画祭」では完成した同作を提げて登壇。

闘病が始まってから亡くなるまで、常に創作意欲に満ちあふれた姿を見せていた。


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■最後の公の場

映画祭
(「第32回 東京国際映画祭」にて撮影)

2019年10月28日。六本木で行われた「第32回 東京国際映画祭」の開幕レッドカーペットイベントは、大林監督のために用意されたといっても過言ではなかった。

17時07分。スポットライトが車いすで登壇する大林監督をくっきりと浮かび上がらせる。『海辺の映画館』のキャストとスタッフが監督を囲んで歩き始める。その顔は素敵な笑顔。レッドカーペットを楽しむようにゆっくりとウォーキングした。

同映画祭では、「映像の魔術師・大林宣彦」と題した特集プログラムで、『海辺の映画館』のほか、『花筐/HANAGATAMI』『異人たちとの夏』『野ゆき山ゆき海べゆき』『さみしんぼ』が上映された。

併せて「特別功労賞」の贈呈式も行われ安藤裕康チェアマンよりトロフィーが、女優の常磐貴子さんより花束が贈呈された。


■溢れ出る映画愛

映画祭
(「第32回 東京国際映画祭」にて撮影)

大林監督は多くの言葉を映画を愛する人々と映画人に残している。2018年2月15日に行われた「第72回 毎日映画コンクール表彰式」でメディアと観客に向けて送ったメッセージ「映画を愛する人にアイラブユー」もそのひとつ。ちなみにこの際、『花筐』が作品部門で日本映画大賞を受賞している。

表彰式で大林監督は、映画の役割、戦争と映画との関係、映画人のすべきことなどを話す。

親交がある生島ヒロシさんが司会を努めていたが、「監督が話し始めると長いので」と監督からマイクを奪うも、監督は生声で会場の人々にメッセージを送り続けた。会場には笑いも起きるが、話し続ける姿に多くの人が感動していた。

表彰式後の囲み会見で、大林監督はメディアに対して、映画を作り続けてこられたことへの幸せと感謝、そして恩返しとしての役割を話した。「監督、次回作は?」そう誰もが聞きたかった。その質問に応えるように『海辺の映画館』が完成した。多くのファンが公開を待ち望んでいる。

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Source: ニュースサイトしらべぇ

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