後味の悪い話『白線の上は安全地帯』

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本当にあった怖い名無し:2009/09/09(水) 02:41:07 ID:JKvomNn50

後味悪いというか切ない系だけど、

たしか星新一あたりが審査員をやってた一般公募のショート・ショートで


入選作を集めた投稿作品集の中の一つ。




舞台は近未来で、主人公の女性には3歳ほど年下の恋人がいた。


本気で彼との将来を考える仲だったが、そう思えば思うほど世間体で年の差をネックに感じる。


そこで主人公は一大決心し、5年ほど冷凍冬眠を受けることにした。


目覚める頃には、今はヒヨッ子の彼も妻帯の適齢期になり、自分は2歳年下の良いバランスに収まる。


彼氏は「年の差なんかどうだっていいじゃないか」と乗り気ではなかったが、


主人公の決意は固く、人工冬眠に就いた。技術的な限度だったか彼との約束でだったか、


1年ごとにいったん目覚めて、改めてまた眠り直すことになっていた。


1年目の眠りを終えて目覚めると、彼は「なあ、考え直してくれないか」と主人公に訴えかけた。


それでも主人公は、「二人の将来のため、ここは我慢のしどころよ」と、再び眠りに就いた。


2年目を終えて目覚めた時、彼は「本当にお願いだ、もうやめてくれ。


君には一瞬のことかも知れないけど、僕はずっと一人で待っているんだ」と懇願した。


主人公はやはりまた3度目の眠りに就いた。3年目を終えて目覚めた時、そこに彼の姿はなかった。


代わりに、彼からのメッセージを渡された。


『君が前回の眠りに就いてから数ヶ月後、僕は末期の病気が発覚し、余命半年の宣告を受けた。


このままでは君が次に目覚めるまですらもたないので、僕も冬眠の処置を受けることにした。


君が目を覚ましたら、どうか僕も一緒に起こして欲しい。』


メッセージを読んで、主人公は次の眠りには入らず、彼を起こして最期の時間を共に過した。


世間体だとか釣り合いだとか、そんなつまらない点ばかりに気をとられて


彼と過ごせたはずの一分一秒をもっと大事にしてこなかったことを、今さらながらに後悔した。



後悔

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Source: 哲学ニュースnwk

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